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『中小事業主、役員等』の特別加入労災保険制度

2022年04月20日

中小事業主等の特別加入労災保険制度について

                                                                    

1 特別加入制度のあらまし

労災保険は、事業に使用される「労働者」の保護を目的とする制度ですから、事業主、家族従事者その他「労働者」でない者の災害は、本来労災保険の保護の対象ではありません。 しかしながら、中小事業主、家族従事者のなかには、作業の実態や災害の発生上業などから みて、労働基準法の適用労働者に準じて保護するにふさわしい者がいます。そこで、これらの者に対しても、制度本来の建前を損なわない範囲で、特別に任意に加入することを認め、一定の要件をみたす災害について、保険給付等を行うこととしています。         

                                

2 特別加入者の範囲

(1) 中小事業主

特別加入することができる中小事業主は、常時300人(金融業、保険業、不動産業、小売業の場合は50人、サービス業、卸売業の場合は100人)以下の労働者を使用する事業 主であって、労働保険事務組合に労働保険事務処理を委託する者に限られております。

イ 中小事業主には、労働者を年間通じて1人以上使用する場合はもちろん、年間において相当期間(100日以上と見込まれる場合)にわたり労働者を使用することを状態とする場合も含まれます。

ロ 数次の請負による建設事業の下請け事業を行う事業主も、中小事業主等の特別加入の「事業主」として取り扱います。 この場合、下請事業主が中小事業主として特別加入する場合は、自ら行う小工事においてあらかじめ「有期事業の一括扱い」の保険関係を成立させておくことが必要であり、 また、その保険関係に基づいて特別加入することが認められることになります。

(2) 中小事業主が行う事業に従事する者

中小事業主が行う事業に従事する者とは、労働者以外の者で、事業に常態として従事する者をいいます。したがって、事業主が法人である場合には、代表権又は業務執行権を有する者以外の役員のうち、労働者として扱われない者が含まれます。

                                   

3  特別加入の申請手続

(1) 特別加入するには「特別加入申請書または変更届(中小事業主等)」を所轄の労働基準監督署を経由して労働局長に提出し、承認を受けることが必要ですが、労働保険事務の処理を事務組合に委託しておりますので、この事務処理は事務組合を通じて行ってください。

(2) この申請にあたっては、当該事業主とともにその事業に従事する者がいるときは、それらの者全員を包括して加入しなければなりませんでしたが、平成15年7月1日より就労実態のない事業主は包括加入の対象から除外することができるようになりました。対象となる事業主は「病気療養中、高齢その他の事業のため実際に就業しない事業主」「事業主の立場において行う事業主本来の業務のみに従事する事業主」となります。

(3) 特別加入者としての保険給付については、特別加入申請し、承認があった日から初めて労災保険による保護の対象となります。

(4) 特別加入予定者のうち、下表の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に該当する場合は、労働局契約 の健康診断実地機関において健康診断を行い、健康診断証明書を提出していただきます。 

加入時健診対象者

特別加入予定者の業務の種類                            特別加入前に左記の業務に従事した期間

(イ)粉じん作業を行う業務                   3年以上

(ロ)身体に振動を与える業務                               1年以上

(ハ)鉛業務                          6か月以上

(ニ)有機溶剤業務                       6か月以上

                             

4 特別加入者の給付基礎日額及び保険料算定基礎額

給付基礎日額は、労災保険の給付額を算定する基礎となるもので、一般労働者の場合は賃 金をもとに算出されます。しかし、中小事業主等の場合には、賃金というものがないので、給付基礎日額をあらかじめ定めておくことになります。そのため、給付基礎日額を定める際には、特別加入者の所得水準等に見合った適正な額とすることが必要です。(「特別加入保険 料算定基礎額表」参照)

なお、特別加入者の保険料は、給付基礎日額から算定される保険料算定基礎額に、事業に係る労災保険率を乗じた額とされています。

                                                          

給付基礎日額     保険料算定基礎額    給付基礎日額   保険料算定基礎額

25,000円       9,125,000円      9,000円     3,285,000円

24,000円       8,760,000円      8,000円     2,920,000円

22,000円       8,030,000円      7,000円     2,555,000円     

20,000円       7,030,000円      6,000円     2,190,000円

18,000円       6,570,000円      5,000円     1,825,000円

16,000円       5,840,000円      4,000円     1,460,000円

14,000円       5,110,000円      3,500円     1,277,500円

12,000円       4,380,000円      (3,000円)          (1,095,000円)

10,000円       3,650,000円      (2,500円)           (912,000円)

             (保険料計算)                                      (2,000円)           (730,000円)

例) その他の製造業の場合         (注)

給付基礎日額 6,000円           ・年度途中において新たに特別加入者とな

労災保険率 6.5/1000                               った場合や特別加入者でなくなった場合に

保険料=2,190,000×6.5/1000                   は、当該年度内の加入月数に応じた保険

                      となります。

                                                               ・(    ) は家内労働者のみ適用されます。

                           

※平成25年9月から給付基礎日額の上限が20,000円から25,000円に変更となりました。

※平成30年4月から(概算保険料から)労災保険率が変更されている業種がありますのでご

 注意ください。

        

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